よもぎは丈夫な植物として知られています。
土手や野原でも元気に育つ姿から、「虫も病気もほとんどつかない植物」というイメージを持たれる方も多いでしょう。
しかし、長野県で実際によもぎを栽培している私たちの畑では、毎年さまざまな虫や病気、そして雑草と向き合っています。
芽に不思議な「こぶ」ができたり、美しい甲虫が葉を食べたり、小さなアブラムシが集まったりすることも珍しくありません。
この記事では、私たちが実際の畑やフィールドワークで観察した内容に加え、2024年の研究論文や公的機関の資料をもとに、よもぎに発生する虫や病気についてわかりやすく解説します。
写真が見つからなかったので徐々に追加していきますのでご了承ください。
この記事でわかること
・よもぎにできる「虫こぶ」の正体
・よもぎにつく代表的な害虫
・よもぎに発生しやすい病気
・農薬に頼らず畑で行っている管理方法
・自然栽培だから見えてくる、よもぎ本来の姿
よもぎには虫や病気はつくの?
結論から言うと、つきます。
よもぎは丈夫な植物ですが、虫や病気がまったく発生しないわけではありません。
代表的なものとして、
・虫こぶ(虫えい)
・アブラムシ
・ヨモギハムシ
・うどんこ病
・さび病
などがあります。
ただし、自然環境ではこれらは決して珍しいものではなく、多くは植物と昆虫が長い年月をかけて築いてきた自然な関係の一部です。
よもぎにできる不思議な「虫こぶ(虫えい)」とは?

畑を歩いていると、芽や葉、茎がふくらみ、不思議な形になっていることがあります。
初めて見る方は
「病気かな?」
と思われるかもしれません。
しかし、その多くは病気ではありません。
これは「虫こぶ(虫えい・ゴール)」と呼ばれる現象です。
虫こぶとは、昆虫が新芽へ産卵したあと、幼虫から受ける刺激に応答して、よもぎ自身が形成する植物組織です。
つまり、虫が直接作るのではなく、植物が自ら組織を変化させて幼虫を包み込む部屋を作っています。
2024年には京都産業大学と京都府立大学の研究によって、ヨモギには部位ごとにさまざまな虫こぶが形成されることが詳しく報告されました。
虫こぶを作る主な昆虫は、タマバエ科の Rhopalomyia 属です。
名前は「ハエ」ですが、見た目は小さな蚊によく似ています。
多くの種では成虫は餌を食べず寿命も短く、春に新芽へ産卵し、幼虫の刺激によって虫こぶが形成されます。
さらに虫こぶの内部には寄生蜂なども入り込み、一つの虫こぶの中に複数の昆虫が関わる小さな生態系ができあがっています。
ヨモギメツボフシ
芽の先にできる虫こぶです。
壺のようなくびれた形をしており、表面には細かな白い毛が生えています。
遠くから見ると、開花前のつぼみのようにも見えます。
ヨモギクキワタフシ
茎にできる虫こぶです。
白い綿毛をまとったような姿になるため、遠くからでも比較的見つけやすい虫こぶです。
ヨモギハエボシフシ
葉から尖って突き出す虫こぶです。
小さなイボのようにも見え、烏帽子(えぼし)に似た形からこの名前が付けられています。
よもぎにつく代表的な害虫
「よもぎは虫がつかない」
という情報を見かけることがあります。
しかし実際の畑では、さまざまな昆虫がよもぎを利用しています。
アブラムシ
春から初夏にかけて急激に増える代表的な害虫です。
体長は1〜4mmほどしかありませんが、細い口を植物に差し込み、師管液を吸って生活しています。
増殖スピードが非常に速く、植物ウイルスを媒介することでも知られています。
「よもぎはアブラムシを寄せ付けない」という情報もありますが、実際にはヨモギヒゲナガアブラムシなど、よもぎを利用するアブラムシが存在します。
よもぎはキク科の植物ですので。
ヨモギハムシ

金属のような藍色から緑色に輝く、とても美しい昆虫ですが、その美しさとは裏腹に葉を食べてしまいます。
アブラムシが植物の汁を吸う害虫であるのに対し、ヨモギハムシは葉そのものを食害します。
歩いて移動することが多く、畑では一匹ずつ見つけて取り除くこともあります。
農薬を使用しない栽培では、このような地道な観察と管理が欠かせません。
よもぎに発生しやすい病気
害虫だけでなく、よもぎにも病気は発生します。
代表的なものをご紹介します。
さび病
葉の裏側に黄褐色から茶色の小さな斑点が現れる病気です。
胞子が広がることで周囲の株へ感染することがあります。
梅雨時期や秋の多湿環境で発生しやすい病気です。
灰色かび病
長雨や高湿度の条件で発生しやすい病気です。
葉や茎に灰色のカビが広がり、組織が腐敗することがあります。
ウイルス病
アブラムシなどが媒介することが知られています。
葉にモザイク状の模様が現れたり、生育不良を引き起こすことがあります。
一度感染すると治療は難しいため、媒介昆虫の管理が重要になります。
よもぎを健康に育てるための管理方法
私たちの畑では、虫や病気を完全になくすことを目標にはしていません。
自然の中では虫も植物も共に生きています。
そのため大切なのは、植物が育つ環境を整えることです。
日頃から心掛けているのは、
・風通しを良くする
・雑草を適切に管理する
・株の混み合いを避ける
・毎日畑を歩いて変化を観察する
・虫や病気の初期症状を見逃さない
といった基本的な管理です。
毎日植物を観察することで、小さな変化にも気付きやすくなります。
完璧じゃない畑が教えてくれること
虫がいる。
雑草が生える。
病気になることもある。
それは決して「失敗した畑」ではありません。
自然の中で植物が生きている証でもあります。
小さな虫こぶには昆虫たちの暮らしがあり、葉を食べるヨモギハムシも自然の生態系の一員です。
毎年、思い通りにはいかないことばかりですし、実験の日々ですが、そのたびに自然の力強さを教えられます。
よもぎを育てることは、植物を育てるだけではなく、自然を観察し、学び続けることでもあります。
私たちはこれからも、完璧ではない畑だからこそ見えてくる景色を大切にしながら、安心して使っていただける国産よもぎを育てていきます。
よくある質問(FAQ)
Q. よもぎに虫がつくのは異常ですか?
いいえ。アブラムシやヨモギハムシ、虫こぶを作るタマバエなど、よもぎを利用する昆虫は自然界では普通に見られます。
Q. 虫こぶは病気ですか?
いいえ。虫こぶは病気ではなく、昆虫の幼虫から受ける刺激によって、植物自身が形成する組織です。
Q. 虫こぶができた葉は食べられますか?
健康被害が報告されているわけではありませんが、幼虫や寄生昆虫が内部に存在する可能性があるため、食用には使用せず取り除くことをおすすめします。
Q. よもぎの葉が白くなる原因は何ですか?
うどんこ病や虫害、生理的な変化など複数の原因が考えられます。葉全体に白い粉が付いたような症状であれば、うどんこ病の可能性があります。
Q. よもぎは虫がつきにくい植物ですか?
比較的丈夫な植物ですが、アブラムシやヨモギハムシなどの害虫は発生します。「虫がまったくつかない植物」ではありません。
よもぎ栽培の参考になれば幸いです。またご質問等ありましたらお気軽にDMまたはLINEをください。
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参考文献
・京都産業大学・京都府立大学「ヨモギにできる虫こぶの多様性を解明」(2024)
・九州大学総合研究博物館「いろいろな形の虫こぶをつくる:ヨモギタマバエ」
・宇久井ビジターセンター「ヨモギクキワタフシ」
・「ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界」ヨモギハエボシフシ
・みちくさ図鑑「ヨモギクキマルズイフシ」
・国土交通省 吉野川の生き物図鑑「ヨモギハムシ」
・insects.jp「ヨモギハムシ」
・協友アグリ 害虫図鑑「アブラムシ類の生態と防除」
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