ひねるお灸とは、よもぎから作られた「もぐさ」というワタを集めたを、台紙などに詰めずに、指先で小さくひねって肌にのせ、線香で火をつけるお灸のことです。鍼灸院でしているお灸のひとつです。
今回はひねるお灸とはなにか?
についてまとめていきます。

ひねるお灸とは
ひねるお灸とは、もぐさを指先でひねって米粒ほどの大きさにまとめ、肌に直接のせて線香で火をつけるお灸です。「点灸」とも呼ばれます。
使うのは、もぐさと線香と、指だけです。
ドラッグストアのお灸を思い浮かべた方は、いま少しずれを感じたと思います。あれには台紙がついていて、シールで貼ります。同じ「お灸」なのに、なぜこうも違うのか。もぐさが、どうやってできるかから話します。
そもそも、もぐさとは何か
もぐさとは、よもぎの葉を乾燥させて石臼で挽き、余計なものを取り除いて残った、綿状の繊維のことです。よもぎの葉の裏には、細かい白い毛が生えています。あの毛が集まったものが、もぐさです。
工程を順に並べると、こうなります。
- 春から夏に刈り取ったよもぎを、葉だけにして天日で乾かす
- 乾いた葉を、石臼で挽く
- 挽いたものを篩にかけ、唐箕で風を送って分別する
- 茎や葉脈の破片が飛び、軽い繊維だけが残る
- 残った綿状のもの。これが、もぐさ
そして、もぐさをつくるのは本当に大変で量が全然取れません。生のよもぎ1キログラムから採れる最高級のもぐさは、5グラムから6グラムほど。お灸ひとつぶの、あの小さな塊です。
ドラッグストアのお灸は、この綿が詰めてある
ドラッグストアで売られている台座のお灸は、いま説明した綿を、円筒状の台紙に詰めた製品です。お灸そのものではなく、もぐさを扱いやすく加工したもの、という言い方が正確です。
裏のシールをはがして貼り、上から火をつける。台紙が肌ともぐさのあいだに入るので、熱がやわらぎます。誰がやっても同じ大きさ、同じ熱さになる。よくできた製品です。はじめての方には、私たちもこれをおすすめします。

台座灸
知らない人には、これが「お灸」です。
この中に「もぐさが詰めてあるもの」なんです。
鍼灸師は、詰めずにひねる
鍼灸師が使うのは、台紙に詰めてあるものではなく、ワタのままのもぐさです。一つまみ取り、指先でひねって、米粒くらい、あるいはごま粒くらいの大きさにまとめます。それを、そのまま肌にのせます。
火は、線香でつけます。ライターやマッチではありません。線香の先をもぐさの頭にそっと触れさせると、じわりと火が移ります。熱が届いたら、指で消す。この繰り返しです。
詰めるか、ひねるか。違いはそれだけに見えて、そこから先が変わります。詰めてあるものは大きさが決まっている。ひねるものは、大きさも硬さも、その場で決まります。硬くひねれば熱はきつく、ゆるくひねればやわらかくなります。
もちろん先生によってお灸のやり方は異なっているのでいろんな鍼灸院に行ってみてください
お灸の種類は、大きく三つ
お灸には、いろいろな種類があります。よく使われるものを、もぐさがどんな状態かで並べると、違いがはっきりします。
箱灸とかもっといろいろありますが、今回は3つのご紹介です。
| 種類 | もぐさの状態 | 火のつけ方 | 主に使う人 |
| ひねるお灸(点灸) | 綿のまま、指でひねる | 線香 | 鍼灸師 |
| 棒状のお灸(棒灸) | 紙で棒状に巻いてある | 先端に火をつけ、肌から離して温める | 鍼灸師・自宅でも |
| 台座のお灸 | 台紙の筒に詰めてある | 上から火をつけ、シールで貼る | どなたでも |
三つとも、燃えているものは同じです。よもぎから作った、もぐさ。違うのは、その綿が巻いてあるか、詰めてあるか、何もしていないかだけです。
よくある質問
ひねるお灸は、熱いですか
大きさと硬さで変わります。米粒大を最後まで燃やせば、一瞬ちくりとした熱さがあります。ごま粒ほどにして途中で消せば、じんわり温かいところで終わります。鍼灸院では、狙いたいことによって刺激量を調整しています。
ひねるお灸は、自分でもできますか
できますが、あまりおすすめはしません。刺激が強くなったりやけどの危険性があるからです。まずは台座のお灸から始めるのをおすすめします。
私の鍼灸院では、月に1度来てもらい、セルフケアとして台座灸をやっていただくようにお伝えしています。
台座のお灸と、何が違うのですか
燃やしているもぐさは同じで、違うのは台紙の有無です。台座のお灸は台紙が熱をやわらげ、大きさが一定になります。ひねるお灸は肌に直接のせるため、大きさも熱さも、その場で決められます。
ひねるお灸は跡は残りませんか
もぐさを最後まで燃やしきると、小さな水疱や痕が残ることがあります。これを避けるため、いまは熱を感じた時点で指で消す方法が多くとられています。跡を残したくない場合は、施術の前にお伝えください。
まとめ
- お灸は、よもぎの葉を石臼で挽いて分別した「もぐさ」という綿を燃やすもの
- ドラッグストアの台座のお灸は、その綿を台紙に詰めた製品
- ひねるお灸は、詰めずに、綿をそのまま指でひねって据えるお灸
直接灸と間接灸をふくむお灸の種類の全体像は、よもぎマガジンの記事一覧にまとめた記事があります。よもぎという草そのものはよもぎについて、育てている畑は畑のページに書きました。
よもぎを育て、鍼灸でお灸を据えている人間が書いています。機会があれば、火をつける前のもぐさを一度手にとってみてください。
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