よもぎ(艾葉)には、精油成分(シネオール・ツヨンなど)、クマリン類(スコポレチン・ウンベリフェロンなど)、カフェ酸誘導体(ポリフェノールの一種)、タンニン類などが含まれると報告されています。
この記事では、公的な薬用植物データベースなどをもとに、よもぎの成分を鍼灸師の立場から整理していきます。
- よもぎにはどんな成分が含まれているのか
- 香りに関係する成分、ポリフェノールとは何か
- 成分を調べるとき、何に気をつければよいのか
著者:合同会社YOMOGI BASE代表/鍼灸師 信州でよもぎを育て、よもぎを使った化粧水・保湿バーム・お香などを扱っています。

よもぎに含まれる成分の一覧
よもぎの葉を用いる生薬「艾葉(ガイヨウ)」について、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の薬用植物総合情報データベースと、公益社団法人東京生薬協会の資料に挙げられている成分を整理します。
| 成分の種類 | 具体例 | 解説 |
|---|---|---|
| 精油成分 | シネオール、α-ツヨンなど | 揮発しやすく、植物の香りに関係します |
| クマリン類 | スコポレチン、ウンベリフェロンなど | 植物に含まれる化学成分の一群です |
| カフェ酸誘導体 | カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸の仲間)など | ポリフェノールに関連する成分群です |
| タンニン類 | カフェタンニンなど | ポリフェノール系の成分群です |
※すべての成分が、すべてのよもぎや、よもぎを使った製品に同じ量で含まれるという意味ではありません。
よもぎの香りに関係する「精油成分」とは
精油成分とは、植物に含まれる揮発しやすい化学成分のことです。よもぎでは、シネオールやα-ツヨンなどが挙げられています。
ただし、「精油成分が含まれる」という情報だけで、香りの強さや、肌に使ったときの性質まで分かるわけではありません。成分の量や組み合わせ、加工方法も関係します。
よもぎに含まれる「ポリフェノール」とは
ポリフェノールは、植物に広く存在する成分グループの総称で、ひとつの成分の名前ではありません。よもぎでは、カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸の仲間)などのカフェ酸誘導体が紹介されています。
「ポリフェノールが含まれている」というだけでは、どの成分がどれだけ入っているのか、どんな作用が確認されているのかまでは分かりません。
よもぎの成分は、種類・部位・加工方法で変わる
よもぎの成分は、植物の種類、使う部位、採取時期、乾燥や抽出の方法によって、調べられる成分も量も変わります。
- 日本のよもぎと海外の近縁種(ヨモギ属)では、同じ属でも成分や研究結果が一致するとは限りません
- 葉、乾燥葉、精油、エキスでは、測定される成分が異なります
成分を調べるときは、「どのよもぎを、どの部位から、どんな方法で調べたのか」まで確認することが大切です。
成分が分かっても「効果」は別の話
よもぎに成分が含まれていることと、人の身体に特定の効果があることは同じではありません。成分分析で分かるのは「何が入っているか」までで、試験管や動物での実験結果が、そのまま人や市販の製品に当てはまるとも限りません。
研究や製品の説明を読むときは、次の点を確認しましょう。
- 植物の種類:日本のよもぎか、近縁種か
- 試料の状態:葉、乾燥葉、精油、抽出物のどれか
- 研究の種類:成分分析、試験管内の実験、動物実験、人を対象にした研究のどれか
- 製品との関係:研究の試料と、実際に使う製品の原料が同じか
信州でよもぎを育てる立場から
YOMOGI BASEでは、長野県富士見町の標高約1,200mの畑でよもぎを育てています。ただし、標高や栽培環境だけから「品質が優れている」と言うことはできません。成分量の違いを述べるには、同じ条件で採取・分析した比較データが必要です。
とはいえ、標高の高いほうが芳香成分は高くなる傾向はあります。
育てて加工することと、成分を科学的に測ることは別の作業です。だからこそ、実際に見てきたことと、研究で確かめられたことを分けて伝えたいと考えています。
よくある質問
よもぎにはどんな成分が含まれていますか?
シネオールやツヨン類などの精油成分、スコポレチンやウンベリフェロンなどのクマリン類、カフェオイルキナ酸などのカフェ酸誘導体が報告されています。含まれる成分や量は、植物の種類や部位、加工方法によって異なります。
よもぎの成分は産地によって違いますか?
生育環境や採取時期などの影響を受ける可能性はあります。ただし、特定の産地に特定の成分が多いと示すには、条件をそろえた比較データが必要で、産地の情報だけで成分量を断定することはできません。
よもぎの成分は化粧水やバームにも含まれていますか?
化粧品には、ヨモギ葉水やヨモギ葉エキスなどが原料として使われる場合があります。原料名が同じでも抽出方法や規格で内容は異なるため、製品ごとの全成分表示や原料情報を確認しましょう。
成分を調べれば、身体への効果が分かりますか?
成分分析は植物の性質を知る手がかりになりますが、それだけで人への効果は分かりません。実験の種類や対象、実際の製品との違いを含めて判断する必要があります。
まとめ|よもぎの成分は、名前だけでなく根拠まで知る
よもぎには、精油成分、クマリン類、カフェ酸誘導体、タンニン類などが報告されています。どの成分がどれだけ含まれるかは、植物の種類、部位、加工方法によって変わります。成分が見つかったことと、人への効果が確かめられたことは別です。
YOMOGI BASEでは、信州でよもぎを育てながら、お灸や化粧品、お香など、よもぎのさまざまな使い方を伝えています。
次の記事では、「お灸に使うよもぎ」と「化粧品に使うよもぎ」は何が違うのかを、原料と加工方法の違いから整理します。
参考文献
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「薬用植物総合情報データベース」生薬詳細:ガイヨウ(艾葉) https://mpdb.nibn.go.jp/mpdb-bin/view_crude_drug.cgi?id=107&lang=ja
- 公益社団法人 東京生薬協会「新常用和漢薬集:ガイヨウ(艾葉)」 https://www.tokyo-shoyaku.com/wakan.php?id=34
- Bisht D, et al. "Phytochemistry and pharmacological activity of the genus artemisia." Archives of Pharmacal Research. 2021;44(5):439-474. DOI: 10.1007/s12272-021-01328-4 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8067791/
- Sharifi-Rad J, et al. "Artemisia spp.: An Update on Its Chemical Composition, Pharmacological and Toxicological Profiles." Oxidative Medicine and Cellular Longevity. 2022;2022:5628601. PMID: 36105486 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9467740/
最終更新日:2026年10月28日
※本記事は、よもぎの成分に関する一般的な情報を紹介するもので、特定の病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。
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