鍼灸師お灸

日本のお灸の現状について|1,507人の鍼灸師が語るリアルな声

こんにちは。
今回はお灸の現状についてお伝えしていこうと思います。かなりリアルな内容ですがぜひ知ってもらいたい内容です。

この記事では、日本で今、お灸がどう使われているのか
そしてどんな課題があるのかを、1,500人以上の鍼灸師のアンケートの論文をご紹介します。

「お灸って最近どうなの?」「本当に使われてるの?」
そんな素朴な疑問に、現場のリアルな声でお応えできる内容かなと思います。

目次


なぜいま、“お灸の実態調査”?

かつては、鍼とお灸は同じくらい大切に使われていました。
でも1980年代からは「鍼のほうが中心」になり、教育現場でもお灸の存在感は少しずつ薄れていきました。

それって本当に今の現場でも同じなの?
そもそも、患者さんはお灸をどう感じているの?
そういった疑問に答えるために、全国の国家資格を持つきゅう師を対象に、2022年に大規模なアンケートが行われました。

  • 調査期間:2022年1月25日〜2月24日
  • 方法:Googleフォームでの無記名アンケート
  • 回答数:1,507名(全国全都道府県から)
  • 実施:筑波技術大学(倫理審査済)

現場で実際に行われているお灸

なんと、95.1%の鍼灸師が臨床でお灸を使っているという結果に!
「お灸ってもう使われてないんじゃ…?」という印象とは大きく異なりますよね。

ただし、施術の主軸はやはり鍼。

  • 「お灸より鍼が多い」→52.9%
  • 「半々」→36.1%

よく使われているお灸の種類は?

  • 知熱灸:66.3%
  • 透熱灸:53.4%
  • 台座灸:79.5%
  • 棒灸:49.8%

最近では電子灸や電気灸など“火を使わないお灸”も30%以上の治療家が活用しており、
スモークレス灸具も37%が使用中
煙や火を気にする人にも配慮したやさしい選択が広がっています。


お灸を受けたがらない理由とは?

ここが一番大切なポイントです。
実は、患者さんからお灸を断られたことがあるという鍼灸師は…なんと45.6%もいました。

その理由として多かったのは:

  • 「熱そうで怖い」
  • 「火傷しそうで心配」
  • 「跡が残るのがイヤ」
  • 「煙やにおいが気になる」

こうした声が、お灸から足を遠ざけてしまう原因になっています。

でも、実際の“香り”評価は…?

  • 「心地よい」→62.9%
  • 「どちらでもない」→43.3%
    つまり、不快と感じている人は実は少数派。

とはいえ、煙の安全性を「安全」と答えたのは30.1%のみ
「わからない」「どちらとも言えない」が半数以上という結果からも、治療者側もまだ確信を持てていない部分があるようです。


事故(インシデント)は起きているの?

残念ながら、52.9%の鍼灸師が何らかのインシデント経験ありと回答。

  • 火傷(61.9%)
  • 水疱(55.3%)
  • 備品の焦げ・焼損(61.8%)

特に台座灸透熱灸での発生が多く、「間接灸でも油断は禁物」ということが分かります。

中には賠償責任保険を使ったケースも4.0%、自己資金で補償したケースが5.0%と、現実的な課題にもなっているんですね。


それでも「お灸には効果がある」と、98.9%が回答

圧倒的多数の鍼灸師が、お灸にしっかり効果を感じていると答えています。

よく使われている症状は、

  • 腰痛
  • 膝痛
  • 肩こり
  • 冷え性

といった運動器系や冷えにまつわるものが中心。
また、「病名だけでなく東洋医学的な“体質や流れ”を考えて施術している」という声も多くありました。


これから広げていくためには?

治療家たちの87.5%が「もっとお灸を普及させたい」と考えていることも分かりました。
そのために必要とされているのが:

  1. 臨床研究で有効性を示すこと(75.6%)
  2. 科学的な裏づけを増やすこと(68.3%)
  3. わかりやすい啓蒙活動(63.9%)
  4. より安全な灸具の開発(34.2%)

つまり、「安全に・科学的に・わかりやすく」伝えていくことが今後のお灸のカギになりそうです。


おわりに:お灸は、“これから”のヘルスケアにもフィットする

ここまで読んでくださってありがとうございます。

お灸は、長い歴史をもつ伝統療法ですが、
いま改めて注目されている理由は、その手軽さ・温かさ・自然なケアにあります。

「熱そう」「煙がちょっと…」と感じていた方も、
スモークレス・低温灸・電子灸など選択肢が広がることで、もっと気軽に体験できるようになってきています。

鍼灸師の現場では、お灸は“今もちゃんと使われている”し、“これからも続けたい”と強く思われている
それを今回の調査は、数字とともに教えてくれました。

ぜひ一度、あなたも“自分に合ったお灸”を見つけてみてくださいね。

\「お灸ってちょっと気になる…」という方は、ぜひ身近な鍼灸院に相談してみてください!

参考文献:日本における灸療法 形井ら 全日本鍼灸学会雑誌,2025年

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