「お灸の煙って安全なの?」——はじめての方がいちばん気にされるのはここです。
私は鍼灸師であり、同時によもぎを育てている栽培者でもあります。
畑で葉を摘み、陰でゆっくり乾かし、質のよい“もぐさ”になるほど、香りはまろやかに、燃やしたときの煙も変化していきます。
さて、今回はお灸の煙って吸っても大丈夫なの?という不安なお声もいただきましたので
お灸の煙とその実際、そして自宅でやる場合には煙をどうしたらいいかまとめていきます。
お灸の煙は安全なのかと結論から言えば、適切な環境(換気・量の調整)と道具選びをすれば、お灸の煙は基本的に安全に楽しめます。においが苦手な方にも、当院では着替え(施術用ウェア)やヘッドキャップをご用意し、スモークレス(炭化)タイプや電子灸への切り替えもできます。ここからは、栽培から施術までを見渡す立場だから語れる「安心の理由」と「具体策」を、やさしく、ていねいにお伝えします。

目次
施術室で実践している「見える安全」
鍼灸師として心がけているのは、患者さんが体感で安心できる環境づくりです。
- 換気の設計:窓を少し開け、換気扇を回し、サーキュレーターで「外→室内→外」の流れを作ります。
- におい配慮:着替え・ヘッドキャップをご用意。お仕事前後でも安心です。
- 火の安全手順:耐熱皿、消火用の水、使用後の灰管理を徹底。
- 個別調整:ぜんそく・アレルギー・妊娠中など、個々の事情に合わせて時間・量・道具を調整します。
「安全」に根拠を加える——わかりやすい考え方
ものを燃やせば、二酸化炭素や微量の燃焼由来成分は出ます。ですが、量(どれだけ据えるか)と環境(どう換気するか)を整えれば、健康に影響が出るほどの濃度になりにくいのが日常の施術です。においの感じ方には個人差があるため、以下のように段階的に調整します。
- はじめは少量・短時間から。
- においが苦手なら低煙タイプ→さらに電気灸へ。
- 施術中は換気+空気清浄機を併用。
- 終了後は5〜10分の換気で残り香をオフ。
これらは、患者さんの体感をいちばんに考えた、現場で効く安全策です。
においが気になる方へ
においは記憶に結びつきやすいもの。心地よい体験のために、少しだけ準備をします。
- 髪:ヘッドキャップやタオルでカバー。
- 服:当院の施術用ウェアにお着替え。上着を一枚羽織っておけば、帰りに脱ぐだけでOK。
「においが心配だからお灸を諦める」ではなく、自分に合う強さと方法を一緒に見つけていきましょう。
先日の全日本鍼灸学会でお灸の煙は安全なのかという話もありましたが、人体に影響するほどの有害事象はないとのことですので安心してお灸の治療を受けに来てください。
私自身も今後の研究テーマとしてもぐさの持つ効果などを学術的に研究をしたいと思っております。
その話も後日していきますね。
では後半は自宅でセルフでお灸をする場合どうしたらいいのかについてお話していきます。
自宅でお灸を始めたい方へ
はじめてのセルフお灸は、「お灸 煙 安全」を意識して“準備8割”。下のチェックを上から順に整えるだけで、ぐっと安心して続けられます。
まずは環境づくり(必ずやる)
- 換気:窓を5〜10cm開け、換気扇を回します。可能ならサーキュレーターで外→室内→外へ空気の流れをつくる。
- 燃えやすい物を近づけない:カーテン、紙類、衣類、毛布、アロマオイル、アルコール製品は半径1m以内に置かない。
- 濡れタオルを手元に:万一の火種・灰にすぐ被せられるよう、よく湿ったタオルを1枚。消火用の水入り耐熱カップもそばにあるとなお良い。
道具と置き場所
- 耐熱皿+不燃マット:受け皿は陶器・金属などの耐熱。下に不燃マットやタイルを敷くと安心。
- 安定した台:水平なテーブルで。ベッドやソファの上は不可(低温やけど&延焼リスク)。
- 照明と姿勢:手元が明るい場所で、無理のない姿勢を保てる高さに。
量と時間の目安(はじめは控えめ)
- 1〜2壮/10分以内から。物足りなければ次回少しだけ増やす。
- 熱さの自己基準は“10段階で3〜4”。強い熱感・痛みはすぐ中止。
- 同じ部位の連続施灸は2〜3回まで。皮膚は毎回新しい場所へ。
におい・煙のやさしい対策
- 髪はまとめる/気になる方はヘッドキャップ。
- 上着を一枚羽織っておき、終わったら脱ぐだけで残り香が激減。
- 終了後は5〜10分の換気+布製品に軽くミストでOK。
終わったら——“火の後始末”が安全の決め手
- 灰・残り火は完全に消火。金属ピンセットで受け皿に落とし、濡れタオルで包むか水に浸す。
- 乾いたゴミ箱に直投入しない。完全に冷えたのを確認してから廃棄。
- 受け皿・周囲に焦げや熱残りがないかを目視でチェック。
体調・生活への配慮(やらない方がいいタイミング)
- 発熱時・体調不良・飲酒後・強い眠気のあるときは中止。
- 妊娠中・アレルギー・ぜんそくの方は、低煙タイプを選び、短時間から。
- 子ども・ペットは別室へ。近寄れない環境を先につくってから始める。
NGサイン(1つでも当てはまったら中止→換気)
- 咳、のどの刺激、目のしみ
- 頭痛・めまい・動悸
- 皮膚の強い赤み・ヒリヒリ持続
→ すぐに中止して換気、ぬるま湯を少し飲んで休みます。赤みが長引く・水疱が出る場合は医療機関へ。
かんたん手順
- 換気(窓5〜10cm+換気扇)→台に不燃マット+耐熱皿→濡れタオル+水を手元へ。
- 1〜2壮/10分以内で開始。熱さは3〜4/10を目安に。
- 終了後:灰を完全消火→5〜10分換気→片付け。記録を一行「部位・壮数・体感」で残すと次回が楽。
注意点
- においが気になる→ヘッドキャップ+上着、窓とドアで対角線換気、必要なら電子灸へ。
- 皮膚が赤くなりやすい→壮数を減らす/距離をとる(間接灸・厚みのある台座)。
- 何壮据えればいいのかわからない→“ちょっと物足りない”ところで切り上げる。
セルフケアは“ちょっと物足りない”くらいから。
安全の基本は、換気を必ずすること、燃えやすいものを近くに置かないこと、そして濡れタオルを手元に。
無理をせず、心地よさを積み重ねていきましょう。安全にセルフケアをしていきましょう。
よくあるご質問
Q. お灸の煙は本当に安全?
A. 適切な換気と量、苦手なら低煙の道具選びで、一般的には安全に楽しめます。においが苦手な方には電気灸をご案内します。
Q. 髪や服ににおいはつく?
A. 着替え・ヘッドキャップで多くの方は気になりません。予定がある日は電気灸へ切り替える方も。
Q. はじめてで怖いです
A. 熱さはその場で細かく調整できます。「もう少し弱めに」でOK。痛みは基本ありません。
まとめ
よもぎを栽培しもぐさを製造している鍼灸師から言わせてもらいますが、お灸の煙を不安に思う気持ちはわかります。
しかし、お灸の煙というのものは安全です。また、お灸の煙が苦手な場合でもいくらでも対処の方法があります。
なので安心して、お灸の治療を受けに来てください。
お灸を受けてみませんか?
「お灸の煙が安全なのか」の不安を、少しでも解消できましたでしょうか?
疑問などありましたらコメントやDMをお気軽に
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ぜひ試してみてください。もしくはお近くの鍼灸院まで!
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参考文献:もぐさの山正 すえとこ